簿記3級は、経理の基礎知識を身につけるための登竜門として、多くの人が受験する人気資格です。特に、会計や経理の仕事に興味がある人、ビジネススキルを高めたい社会人、確定申告を自分で行いたい個人事業主などにとって、非常に有益な資格といえます。
しかし、受験者の中には「意外と難しい」と感じる人も少なくありません。特に、簿記の知識が全くない初心者にとっては、専門用語や仕訳のルールを覚えることがハードルとなることもあります。一方で、しっかりと勉強すれば初心者でも十分に合格できる試験でもあります。
では、実際に簿記3級の難易度はどの程度なのか?また、どのように勉強すれば合格できるのか?
この記事では、合格率や試験内容を詳しく解説しながら、初心者でも効率的に学習できる方法を紹介していきます。
簿記3級の基本情報と難易度

1. 簿記3級とは?
簿記3級は、日本商工会議所が主催する資格試験で、会計・経理の基礎を学ぶためのものです。企業の経理業務やフリーランスの確定申告など、ビジネスにおいて幅広く役立つ知識を身につけることができます。
簿記3級の主な目的は、企業の経済活動を記録し、財務状況を把握するための基本的なスキルを習得することです。
そのため、経理職を目指す人だけでなく、ビジネス全般に興味がある人や副業・個人事業主として活動している人にもおすすめの資格です。
2. 合格率から見る簿記3級の難易度
簿記3級の難易度を判断するために、過去の合格率を見てみましょう。合格率は試験の回によってばらつきがありますが、一般的には30〜40%程度で推移しています。
直近の合格率
| 回 | 受験者数(申込者数) | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 169(2025.2.23) | 24,681名 | 21,026名 | 6,041名 | 28.7% |
| 168(2024.11.17) | 22,922名 | 19,588名 | 5,785名 | 29.5% |
| 167(2024.6.9) | 24,497名 | 20,927名 | 8,520名 | 40.7% |
| 166(2024.2.25) | 28,565名 | 23,977名 | 8,706名 | 36.3% |
| 165(2023.11.19) | 30,387名 | 25,727名 | 8,653名 | 33.6% |
| 164(2023.6.11) | 31,818名 | 26,757名 | 9,107名 | 34.0% |
| 163(2023.2.26) | 37,493名 | 31,556名 | 11,516名 | 36.5% |
簿記3級および2級試験については、2020年12月より従来のペーパーテストである統一試験、団体試験とは別にネット試験もスタートしました。
| 期間 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2024年4月~2024年12月 | 171,038名 | 66,863名 | 39.1% |
| 2023年4月~2024年3月 | 238,155名 | 88,264名 | 37.1% |
| 2022年4月~2023年3月 | 207,423名 | 85,378名 | 41.2% |
| 2021年4月~2022年3月 | 206,149名 | 84,504名 | 41.0% |
| 2020年12月~2021年3月 | 58,700名 | 24,043名 | 41.0% |
3. 簿記3級の試験内容
簿記3級の試験内容は、主に以下の項目で構成されています。
- 試験形式:筆記試験(商業簿記のみ)
- 出題範囲:仕訳、試算表、決算整理など
- 試験時間:60分
- 合格基準:100点満点中70点以上
試験は、大きく分けて「仕訳問題」「試算表の作成」「決算整理」などが出題されます。これらの分野の理解が合格の鍵となります。
第1問: 仕訳問題
- 内容: 取引を適切な勘定科目に分類し、借方・貸方に分けて正しい金額を記入する問題。
- 出題数: 15問(各3点)
- 配点: 45点
- 特徴: 簿記の基本となる部分で、過去問と似た問題が出題されることが多い。
第2問: 勘定記入・語句記入・補助簿選択
- 内容: 勘定記入や補助簿(商品有高帳、固定資産台帳など)の問題、穴埋め形式の理論問題。
- 出題数: 小問2問程度
- 配点: 20点
- 特徴: 範囲が広く、部分点が狙いやすい。
第3問: 決算書作成問題
- 内容: 決算整理後残高試算表、精算表、貸借対照表・損益計算書作成など。
- 出題数: 1問(総合問題)
- 配点: 35点
- 特徴: 処理の流れを理解していれば満点も狙える重要な分野。
4. 簿記3級が難しく感じるポイント
簿記3級は決して難関資格ではありませんが、初心者にとっては以下のような点を難しく感じる人が多くいます。
- 仕訳が分かりにくい
- 簿記の基本である「貸借」の概念を理解するのに時間がかかる
- 取引ごとに勘定科目を適切に選ぶのが難しい
- 試算表や精算表の作成が面倒
- 計算ミスが合否に直結する
- 多くの項目を整理して処理する必要がある
- 決算整理仕訳が複雑
- 減価償却や売上原価の計算など、基本的な仕訳よりも高度な処理が必要
- 仕訳の流れをしっかり理解していないとミスをしやすい
特に、簿記に初めて触れる人にとっては、「仕訳が難しい」「計算が複雑」と感じることが多いですが、ポイントを押さえた勉強をすれば十分に合格を目指せる資格です。
簿記3級の勉強時間の目安

簿記3級の試験に合格するために必要な勉強時間は、受験者のバックグラウンドや学習スタイルによって異なりますが、ここでは、初心者と経験者の基本的な学習時間の目安を紹介します。
1. 簿記3級合格に必要な学習時間
| 学習レベル | 学習時間の目安 | 学習期間の目安 |
|---|---|---|
| 簿記未経験者 | 50〜100時間 | 1〜2ヶ月 |
| 基礎知識あり(簿記を少し学習済み) | 20〜50時間 | 1ヶ月以内 |
| 経理経験者・簿記勉強経験あり | 10〜30時間 | 2週間〜1ヶ月 |
簿記未経験者の場合、まずは基本的な概念や仕訳のルールをしっかり理解することが重要です。短期間で合格を目指す場合は、重点的に学習する範囲を決めて効率よく勉強しましょう。
2. 学習スケジュール例
初心者向け(2ヶ月で合格を目指す)
| 週 | 学習内容 | 目安時間 |
|---|---|---|
| 1週目 | 簿記の基本概念(貸借、勘定科目の理解) | 10時間 |
| 2週目 | 仕訳問題を中心に演習 | 10時間 |
| 3週目 | 試算表・精算表の作成演習 | 10時間 |
| 4週目 | 決算整理仕訳・財務諸表の作成 | 10時間 |
| 5週目 | 過去問・模擬試験演習(第1回目) | 10時間 |
| 6週目 | 弱点補強・応用問題演習 | 10時間 |
| 7週目 | 過去問・模擬試験演習(第2回目) | 10時間 |
| 8週目 | 最終チェック・試験対策 | 10時間 |
経験者向け(1ヶ月で合格を目指す)
| 週 | 学習内容 | 目安時間 |
|---|---|---|
| 1週目 | 仕訳問題の復習・演習 | 8時間 |
| 2週目 | 試算表・精算表の演習 | 8時間 |
| 3週目 | 過去問・模擬試験演習 | 8時間 |
| 4週目 | 弱点補強・試験対策 | 6時間 |
3. 効率的な学習方法
- 仕訳を最優先に学習
- 試験の基礎となるため、毎日仕訳問題を解く習慣をつける。
- テキストと問題集を並行して進める
- テキストを読んでから問題集に取り組むのではなく、実際の問題を解きながら理解を深める。
- 過去問・模擬試験を活用
- 試験前に最低2〜3回は模擬試験を実施し、時間配分に慣れておく。
- スキマ時間の活用
- 通勤時間や休憩時間を利用して、仕訳や財務諸表のポイントを暗記する。
簿記3級は、効率よく学習すれば短期間でも合格を狙える資格です。自分に合ったスケジュールを立て、計画的に勉強を進めましょう。
簿記3級合格に向けた試験対策

簿記3級は決して難易度が高い試験ではありませんが、出題範囲が広いため、しっかりと対策を行うことが重要です。
1. よく出る問題を重点的に対策する
簿記3級の試験では、特定の問題が頻繁に出題される傾向があります。限られた勉強時間を有効活用するために、頻出分野を重点的に対策しましょう。
頻出分野と対策
- 仕訳問題(第1問)(配点:45点)
- 15問出題され、試験の基礎となる重要なパート。
- 頻出する取引(現金・売掛金・買掛金・減価償却費など)を重点的に学習。
- 毎日10問以上解いて、パターンを体に染み込ませる。
- 試算表・精算表(第3問)(配点:35点)
- 財務諸表を作成する問題が出題。
- 試算表の作成手順を理解し、繰り返し練習する。
- 計算ミスを防ぐため、問題演習後に必ず見直しをする。
- 決算整理仕訳(第2問・第3問)
- 減価償却・貸倒引当金・売上原価の算出などが頻出。
- 仕訳だけでなく、その後の財務諸表への影響も理解する。
- 過去問や予想問題を通じて、よく出る仕訳を押さえる。
- 頻出仕訳のパターンを再確認。
- 計算ミスしやすい問題(特に精算表・試算表)を重点的に解く。
- 過去問を通じて、出題傾向に慣れる。
2. 計算ミスを防ぐコツ
簿記3級の試験では、計算ミスが合否を分けることがあります。特に、電卓を使う機会が多いため、計算ミスを防ぐ工夫をしておきましょう。
計算ミスを防ぐポイント
- 電卓の使い方に慣れる
- 簿記試験では電卓の使用が認められています。
- 「メモリー機能」や「クリアキー(CとCE)」を正しく使い、計算ミスを防ぐ。
- 本番と同じ電卓を使って練習する。
- 問題文をよく読む
- 仕訳問題では、問題文の「借方・貸方」を正しく理解する。
- 「税込み・税抜き」や「期首・期末」の条件を見落とさない。
- 見直しの時間を確保する
- 試験終了の5分前には、全体の見直しをする。
- 特に、精算表や財務諸表の計算結果が正しいか再確認する。
3. 試験当日の注意点
試験本番では、緊張や時間配分のミスで普段の実力を発揮できないことがあります。以下のポイントを意識して、落ち着いて受験しましょう。
試験当日の時間配分
| 問題 | 目標時間 | 内容 |
|---|---|---|
| 第1問(仕訳問題) | 15分 | できるだけ早く正確に解く |
| 第2問(補助簿・勘定記入) | 10分 | 時間をかけすぎず、確実に得点する |
| 第3問(試算表・精算表) | 30分 | 最も配点が高いため、慎重に解く |
| 見直し | 5分 | 計算ミスや記入ミスを確認 |
試験前日と当日の準備
- 前日までにすること
- これまで解いた過去問のミスを見直す。
- 仕訳問題を30問程度解き、勘を取り戻す。
- 試験会場までのルートや持ち物を確認。
- 当日持参すべきもの
- 受験票
- 身分証明書
- 電卓(使用可能なもの)
- 筆記用具(シャープペンシル・消しゴム)
- 腕時計(試験会場に時計がない場合に備える)
- 試験前の心構え
- 深呼吸してリラックスする。
- 「落ち着いて問題を読む」ことを意識する。
- ケアレスミスを防ぐために、最後まで見直しをする。
まとめ
簿記3級は、決して簡単な試験ではありませんが、適切な試験対策を行えば初心者でも十分に合格できます。
✅ 頻出問題を重点的に対策する
✅ 計算ミスを防ぐための練習をする
✅ 試験当日は時間配分を意識する
これらのポイントを押さえ、計画的に学習を進めましょう。しっかりと準備すれば、合格は決して難しくありません!

